【歴史】ローソク足の起源。本間宗久とは?
ローソク足は、金融市場の分析において非常に重要なツールですが、その起源と発展には興味深い歴史があります。ローソク足の基本的な形状と手法は、日本の江戸時代に遡ります。当時の市場分析に革命をもたらし、現代の金融市場でも広く利用されています。この歴史的な背景を知ることは、ローソク足の効果的な活用に役立つことでしょう。
起源と歴史
ローソク足チャートの起源は、17世紀の日本に遡ります。このチャート形式は、米の価格変動を視覚的に表現するために開発され、特に本間宗久(ほんま そうきゅう、1772年-1851年)がその発展に寄与しました。
本間宗久とローソク足の発展
本間宗久は、江戸時代の商人であり、米相場のトレーダーとして知られていました。彼は市場の動向をより正確に把握するために、ローソク足チャートを開発しました。彼の方法論は、特定のパターンや形状を用いて市場の反転や継続のサインを視覚的に把握するものでした。
本間の研究と実践により、ローソク足は日本の金融市場で広く使われるようになり、その後、19世紀末から20世紀初頭にかけて西洋に伝わり、現在では世界中のトレーダーや投資家に利用されています。彼の著書「三津浜の説」は、ローソク足のパターンやその解釈について詳しく述べており、現代のテクニカル分析の基礎となっています。
ローソク足は、視覚的に価格の動向を把握できるため、短期的なトレードから長期的な投資まで幅広く活用されており、その有用性と歴史的背景がトレーディングの世界で評価されています。
ローソク足とは?
ローソク足は、主に金融市場での価格変動を視覚的に表現するために使用されるチャートの一形式です。ローソク足チャートは、価格のオープン(始値)、クローズ(終値)、ハイ(最高値)、ロー(最安値)を表し、これによりトレーダーは市場の動向を把握しやすくなります。
基本的な概念
- 実体(Body): ローソク足の中心部分で、始値と終値の間の価格差を示します。実体が長いほど、その期間の価格変動が大きかったことを意味します。
- 上ヒゲ(Upper Wick): 実体の上部から最高値までの価格差を示します。上ヒゲが長いと、売り圧力が強かったことを示します。
- 下ヒゲ(Lower Wick): 実体の下部から最安値までの価格差を示します。下ヒゲが長いと、買い圧力が強かったことを示します。
- 実体の色: 実体が白の場合はクローズが始値より高い、黒の場合はクローズが始値より低いことを示します。(色は環境に依存します)
ローソク足パターンの種類とその解説
基本パターン
1. ハンマー(Hammer)
- 説明: ハンマーは、下ヒゲが長く、実体が短いローソク足です。通常、下落トレンドの後に現れることで、反転のサインとされます。上ヒゲはほとんどないか非常に短く、実体はローソク足の上部に位置します。
- 具体例: 例えば、価格が下降している中でハンマーが現れた場合、このパターンは価格が底を打った可能性を示唆します。ハンマーの形成後、価格が反発し上昇することがあります。
2. エングルフィン(Engulfing)
- 説明: エングルフィンは、前のローソク足の実体を完全に包み込む大きな実体を持つローソク足です。このパターンは、トレンドの反転を示唆します。上昇トレンドの後に現れる「ベア・エングルフィング」と、下降トレンドの後に現れる「ブル・エングルフィング」があります。
- 具体例: 上昇トレンド中にベア・エングルフィング(大きな陰線が前の陽線を包み込む)が現れた場合、下降トレンドの可能性があります。逆に、下降トレンド中にブル・エングルフィング(大きな陽線が前の陰線を包み込む)が現れると、上昇トレンドの可能性があります。
3. ピンバー(Pin Bar)
- 説明: ピンバーは、上または下に長いヒゲを持ち、実体が短いローソク足です。このパターンは強い反転シグナルとされ、特にヒゲが長いほど信号の強さが増します。ピンバーがトレンドの終わりや転換点を示すことが多いです。
- 具体例: 下降トレンド中に長い上ヒゲを持つピンバーが現れると、反発上昇のサインとなります。上昇トレンド中に長い下ヒゲを持つピンバーが現れると、反発下降のサインとなります。
4. ドージ(Doji)
- 説明: ドージは、開値と終値がほぼ同じで、実体が非常に小さく、ヒゲが長いローソク足です。市場の不確実性や反転の兆候を示すことがあります。
- 具体例: ドージが上昇トレンドの途中で現れた場合、価格の方向性が不明確であることを示します。ドージの後に価格が反転することが多く、次のローソク足の動きに注目します。
5. リバーサル・ハンマー(Reversal Hammer)
- 説明: リバーサル・ハンマーは、ハンマーと似ていますが、トレンドが明確でない場合に見られることが多いです。特にボトムで現れた場合に反転の強いサインとされます。
- 具体例: 下降トレンドの底付近にリバーサル・ハンマーが現れると、反発の兆しとされ、価格が上昇する可能性があります。
6. ダーク・クラウド・カバー(Dark Cloud Cover)
- 説明: ダーク・クラウド・カバーは、上昇トレンド中に現れる反転パターンで、最初のローソク足が陽線、次にその陽線の実体内で始まり、終わりが下回る陰線が続くパターンです。
- 具体例: 上昇トレンドの後にダーク・クラウド・カバーが現れると、価格が反転して下落する可能性が示唆されます。特に、2本目の陰線が長いほど反転のサインが強いとされます。
7. ホワイト・マリー・アブド(White Marubozu)
- 説明: ホワイト・マリー・アブドは、実体が長く、上ヒゲや下ヒゲがほとんどない陽線です。強い買い圧力を示し、上昇トレンドの強さを示すとされます。
- 具体例: 価格の上昇が続いている中でホワイト・マリー・アブドが現れると、さらに上昇する可能性が高いとされます。
8. ブラック・マリー・アブド(Black Marubozu)
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- 説明: ブラック・マリー・アブドは、実体が長く、上ヒゲや下ヒゲがほとんどない陰線です。強い売り圧力を示し、下降トレンドの強さを示すとされます。
- 具体例: 価格の下降が続いている中でブラック・マリー・アブドが現れると、さらに下落する可能性が高いとされます。
複合パターン
1. ダブルトップ(Double Top)
- 説明: ダブルトップは、上昇トレンドの後に形成される反転パターンです。価格が2回のピークを形成し、2つのピークの間に谷があります。このパターンは、上昇トレンドの終了と下降トレンドの始まりを示唆します。
- 具体例: 価格が上昇し、2回のピーク(ダブルトップ)が形成され、その後、サポートラインを下回ると、反転のシグナルとなり、価格の下落が始まる可能性があります。
2. ダブルボトム(Double Bottom)
- 説明: ダブルボトムは、下降トレンドの後に形成される反転パターンです。価格が2回の底を形成し、2つの底の間に山があります。このパターンは、下降トレンドの終了と上昇トレンドの始まりを示唆します。
- 具体例: 価格が下降し、2回の底(ダブルボトム)が形成され、その後、レジスタンスラインを上回ると、反転のシグナルとなり、価格の上昇が始まる可能性があります。
3. トリプルトップ(Triple Top)
- 説明: トリプルトップは、上昇トレンドの後に3つのピークを形成する反転パターンです。3つのピークはほぼ同じレベルで、谷がそれぞれのピークの間にあります。このパターンは、強い上昇トレンドの終わりを示唆します。
- 具体例: 価格が上昇し、3つのピーク(トリプルトップ)が形成された後、サポートラインを下回ると、価格の下降が始まる可能性があります。
4. トリプルボトム(Triple Bottom)
- 説明: トリプルボトムは、下降トレンドの後に3つの底を形成する反転パターンです。3つの底はほぼ同じレベルで、山がそれぞれの底の間にあります。このパターンは、強い下降トレンドの終わりを示唆します。
- 具体例: 価格が下降し、3つの底(トリプルボトム)が形成された後、レジスタンスラインを上回ると、価格の上昇が始まる可能性があります。
5. ヘッド・アンド・ショルダーズ(Head and Shoulders)
- 説明: ヘッド・アンド・ショルダーズは、上昇トレンドの後に現れる反転パターンで、3つのピークから構成されます。中央のピーク(ヘッド)が最も高く、両側のピーク(ショルダーズ)がそれより低いです。逆に、下降トレンドの後には「逆ヘッド・アンド・ショルダーズ」が形成され、上昇トレンドを示唆します。
- 具体例: 上昇トレンドの後にヘッド・アンド・ショルダーズが形成され、その後、ネックラインを下回ると、価格が反転して下落する可能性があります。逆ヘッド・アンド・ショルダーズが形成されると、価格の上昇が始まる可能性があります。
6. フラッグ(Flag)
- 説明: フラッグは、トレンドの途中で現れる継続パターンで、価格が急激に動いた後に小さな調整が行われるパターンです。フラッグは通常、対角線を持ち、トレンドがその方向に継続することを示唆します。
- 具体例: 上昇トレンドの途中でフラッグが形成されると、調整が終了後に価格がさらに上昇する可能性があります。下降トレンドの途中でフラッグが形成されると、調整が終了後に価格がさらに下落する可能性があります。
7. ペナント(Pennant)
- 説明: ペナントは、トレンドの途中で現れる継続パターンで、対称三角形のような形状を持ちます。価格が急激に動いた後、ペナント内で小さな調整が行われ、その後にトレンドが再開します。
- 具体例: 上昇トレンドの途中でペナントが形成されると、調整後に価格がさらに上昇する可能性があります。下降トレンドの途中でペナントが形成されると、調整後に価格がさらに下落する可能性があります。
これらの複合パターンを理解し活用することで、市場のトレンドをより正確に把握し、トレードの判断材料として役立てることができます。
ローソク足のトレンド分析:上昇トレンドと下降トレンドの見分け方
ローソク足を使ったトレンド分析は、トレーダーが市場の動向を理解し、適切な取引戦略を立てるために非常に重要です。ここでは、上昇トレンドと下降トレンドを見分けるための具体的なポイントを紹介します。
上昇トレンドの見分け方
- 連続する陽線(Bullish Candles):
- 説明: 上昇トレンドでは、連続して陽線(価格が始値よりも高い終値を持つローソク足)が現れます。これにより、買い圧力が強いことが示されます。
- 具体例: 価格が安定して上昇しているときに、連続して長い陽線が形成されると、上昇トレンドの強さが示唆されます。
- 高値と安値の切り上げ(Higher Highs and Higher Lows):
- 説明: 上昇トレンドでは、価格が新しい高値(High)と新しい安値(Low)を形成し続けます。つまり、前回の高値や安値を超えることが特徴です。
- 具体例: チャート上で、価格が順に高いピーク(高値)と高い谷(安値)を形成していると、上昇トレンドが進行中であると判断できます。
- サポートライン(Support Levels)の保持:
- 説明: 上昇トレンド中のサポートライン(価格が下回ることなく保持されるレベル)は、トレンドが強いことを示します。
- 具体例: 上昇トレンド中に価格がサポートラインに近づくと、サポートが確認され、再度価格が上昇する可能性があります。
- パターンの形成:
- 説明: 上昇トレンド中に「ハンマー」や「ブル・エングルフィング」などの強気のローソク足パターンが見られると、トレンドの強さが確認できます。
- 具体例: 上昇トレンドの途中で「ハンマー」が現れ、その後に価格がさらに上昇する場合があります。
下降トレンドの見分け方
- 連続する陰線(Bearish Candles):
- 説明: 下降トレンドでは、連続して陰線(価格が始値よりも低い終値を持つローソク足)が現れます。これにより、売り圧力が強いことが示されます。
- 具体例: 価格が安定して下落しているときに、連続して長い陰線が形成されると、下降トレンドの強さが示唆されます。
- 低値と高値の切り下げ(Lower Highs and Lower Lows):
- 説明: 下降トレンドでは、価格が新しい安値(Low)と新しい高値(High)を形成し続けます。前回の安値や高値を下回ることが特徴です。
- 具体例: チャート上で、価格が順に低いピーク(高値)と低い谷(安値)を形成していると、下降トレンドが進行中であると判断できます。
- レジスタンスライン(Resistance Levels)の保持:
- 説明: 下降トレンド中のレジスタンスライン(価格が突破できないレベル)は、トレンドが強いことを示します。
- 具体例: 下降トレンド中に価格がレジスタンスラインに近づくと、レジスタンスが確認され、再度価格が下落する可能性があります。
- パターンの形成:
- 説明: 下降トレンド中に「エングルフィン」や「ベア・エングルフィング」などの弱気のローソク足パターンが見られると、トレンドの強さが確認できます。
- 具体例: 下降トレンドの途中で「ベア・エングルフィング」が現れ、その後に価格がさらに下落する場合があります。
これらのポイントを用いることで、ローソク足チャートから上昇トレンドと下降トレンドをより正確に見分けることができます。トレンドを理解することで、効果的なトレード戦略を立てるための基礎を築けます。
ローソク足とサポート・レジスタンスラインの関係
ローソク足はサポート・レジスタンスラインとの関係を把握するために有効です。サポートラインに近い位置でのローソク足の反発や、レジスタンスラインでのローソク足の反落は、重要なトレードシグナルとなります。例えば、サポートライン付近で長い下ヒゲを持つローソク足が形成された場合、反発の可能性があります。
ローソク足パターンを利用したエントリーとエグジットの戦略
ローソク足パターンを利用したエントリーとエグジットの戦略を以下に説明します。
エントリー戦略
ローソク足の基本パターンが出現したタイミングでエントリーを行います。そのほかにチャートパターンでもエントリーが可能です。下記具体例になります。
- ダブルトップ(Double Top)
- エントリータイミング: ダブルトップの右側のピークと谷の間に形成されたネックラインを下回ると、売りエントリーを行います。
- ダブルボトム(Double Bottom)
- エントリータイミング: ダブルボトムの右側の底と山の間に形成されたネックラインを上回ると、買いエントリーを行います。
- ヘッド・アンド・ショルダーズ(Head and Shoulders)
- エントリータイミング: ヘッド・アンド・ショルダーズのネックラインを下回ると、売りエントリーを行います。逆ヘッド・アンド・ショルダーズの場合は、ネックラインを上回ると買いエントリーを行います。
エグジット戦略
- ターゲットの設定
- 戦略: エントリー後、ターゲットレベルを設定します。これは、サポートやレジスタンスレベル、またはパターンに基づいた予測価格レベルになります。
- 例: ダブルトップやダブルボトムのターゲットは、ネックラインからの価格移動幅に基づいて設定します。
- トレーリングストップ
- 戦略: 利益が出ている場合に、トレーリングストップを設定して利益を保護します。トレンドが続く限りポジションを保持し、トレンドが反転した時に自動的にエグジットします。
- 実施方法: トレーリングストップを価格の一定割合またはピップ数に設定し、価格が有利に動くと、ストップもそれに伴って動きます。
- ストップロスの設定
- 戦略: エントリー後、ストップロスを設定してリスクを管理します。ストップロスの位置は、パターンの反転ポイントやサポート/レジスタンスレベルに基づきます。
- 例: ハンマーの場合、ストップロスはハンマーの安値の少し下に設定します。エングルフィングの場合、ストップロスはエングルフィングの高値または安値の少し外れた位置に設定します。
- 利益確定
- 戦略: 価格がターゲットに到達したとき、またはトレンドが弱まっている兆候が見られたときに利益を確定します。
- 例: ピンバーでのエントリー後、価格が設定したターゲットレベルに到達した場合、利益確定を行います。
これらのエントリーとエグジットの戦略を適切に活用することで、ローソク足パターンを基にした効果的なトレードが可能になります。
ローソク足の時間足による変化とその影響
ローソク足の時間足(1分足、5分足、日足など)によってパターンの信頼性や解釈が変わります。短期のローソク足パターンは短期的な価格変動を反映し、長期のローソク足パターンは長期的なトレンドを示すことが多いです。例えば、1時間足で確認されるピンバーは、短期的な反転シグナルとなることが多いです。
ローソク足を使ったボリューム分析の方法
ローソク足とボリュームを組み合わせることで、価格の動きに対する市場の関心や強さを判断できます。例えば、価格が上昇しているときにボリュームが増加している場合、その上昇の信頼性が高いとされます。逆に、ボリュームが少ない中での価格変動は、信頼性が低いとされます。
まとめ
ローソク足は、日本の江戸時代に本間宗久によって開発され、米の価格変動を分析するために用いられた価格チャートの形式です。この手法は、開値、終値、高値、安値を視覚的に表現し、市場の強弱やトレンドの反転ポイントを把握するための強力なツールとして、現在でも広く使用されています。ローソク足の基本パターンを利用することで、トレードのエントリーとエグジットのタイミングを計るようになります。エントリー戦略としては、パターン確認後の次のローソク足の終値での取引が基本となります。エグジット戦略としては、ターゲットレベルやストップロスの設定によってリスクを管理し、利益を確保します。ローソク足パターンをマスターすることで、市場の動向をより正確に読み取り、効果的なトレーディングが可能になります。
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